さんざん使った古いGALLIEN-KRUEGERの名器 MB150S-IIIベースアンプが壊れました。
修理に出すと最低100ドル以上かかりそうです。最近のアンプは300ドルくらいで良い物も有るので考えどこです。
この際、50年位前の真空管アンプを作りを思い出しながらダメ元で自分で修理することにしました。
コネクタやトランジスタの半田を外すのに手間取ったのですが、テスターで調べてペアの出力トランジスタ交換して無事回復しました。部品代も20ドル以内でしたし補強も出来ました。
楽しくて病み付きになったのでメモしておきます。
1. 回路図
回路図を検索すると無料でありました。
ダウンロードしてプリントアウトすると2SC5242と2SA1962のダブルペアの出力トランジスタを使ったアンプでした。
http://www.eserviceinfo.com/index.php?what=search2&searchstring=GallienKrueger-MB150SEIII+pwramp.pdf
2. 症状
使用中に焦げ臭い匂いが出て電源が入らなくなった。
ヒューズが飛んだ模様。ヒューズは外には出ていないので外さないと分からない。
予想できる事は次のことが考えられるらしい。
1) 電源変動か何かでヒューズが飛んだだけ。
2) コンデンサーがパンクしてショート。
3) 出力トランジスタのショート。
4) 整流ブリッジがショート。
3. アンプをケースから外す。
1) 両側のネジを外すとアンプだけ外れます。
私はうっかりアンプの前面のプリアンプと裏面のケースのネジも外してしまい困りました。
2) スピーカーとは短いコードでソケットでプリント基板に差してあるので壊さないように注意して外します。
3) それと電源トランスが重いトロイダルコイル型で私のは外れて転がり出てきたのであわてました。
見るとロックファースナー粘着テープで貼ってあったのが剥がれていました。
たぶん昔修理で取付金具が無くなって応急処置をしたままなのでしょう。なにせ中古だったので。
ロックファスナはこんなものです。 これでは10年ももちませんよね。
ハードウエアショップに行ってトランスを固定できそうな長さのボルトナットと金属とゴムのワッシャーを2ドルくらいで買ってきて代用できました。上のビデオ参照。
固定されていない重い円形のトロイダルトランスがケースのシャーシーに運搬の時にぶつかって変形し膨らんでいたのでした。
3.目視点検
1) 空けてみるとプリント基板のACコードのすぐ傍にヒューズがあり黒焦げになっていました。
それと出力トランジスタの放熱板への固定ネジが1個ありませんでした。
電解コンデンサーもパンクはしてないようです。
2) テスターでトランスの1次側を測定。巻き線の直流抵抗が3.5オームあったのでショートはしていないようです。
2次側はコネクタを外さないとテストできません。
3) ヒューズを持って部品屋に行き買ってきて無謀にも取り替えて電源を入れてみました。
思ったとおりもう一度ヒューズが飛んでしまいました。
やっぱりヒューズ以外の問題ですね。
テスターでチェックしたかったのですがコネクター類とトランジスタ放熱用のネジを全部外さないとプリント基盤が外れなかったので。他のところが壊れなくて良かった。
ヒューズを良く見ると正規版はT3.15AL250V Slow Blow Time Delayというゆっくり切れるヒューズだったのに買ってきたのはF3.15AL250V Fast Blowという即断ヒューズでした、怪我の功名でテスト用には被害が少なかったのかもしれません。
4. トランスのコネクターを外す
テスターでチェックするためにはトランスとプリント基板の接続コネクタを外さないと端子が出てきません。
1) トランスの1次側のコネクタは1個ずつに分かれているのでドライバーでこねて何とか外れました。
トランスの2次側も抵抗値は良さそうです。
2) 問題は2次側の7ピンのロック付きホルダーのコネクターです。
ロックが2個に分かれていてロックをドライバーで押さえて手でコネクタを抜こうとしてもびくともしません。結局2本の小型マイナスドライバーで押さえながらプライヤでコネクタを挟んで抜くと外れました。何か良い道具が有るのかもしれませんね。
3) プリアンプからのコネクタはロックは付いていないのになかなか抜けませんでした。小型マイナスドライバーで少しずつ動かすと外せました。
4) 後はアンプの裏蓋のネジを外してプリント基板だけになりました。
5. テスターでチェック
ヒューズが飛ぶので何処かがショートしているとすると部品を外さなくても分かるだろうとテストを開始しました。
1) 3個の4Aのダイオードブリッジもショートはしてないようです。
後のダイオード類もショートはしていませんでした。
2) 電解コンデンサーの極性に注意しながらテストしてもショートはありません。
以外のコンデンサーもショートは無いようです。
3) 4個の出力トランジスタをチェックすると2個がエミッタ、コレクタ(E、C) 間がショートしていました。
1個は放熱板への取り付けネジが無くなっていた
2SA1962とそのペアの
2SC5242トランジスタでした。Amazonに注文しました。
http://www.amazon.com/2SC5242-2SA1962-Diffused-Amplifier-TOSHIBA/dp/B00IQBBBH6
原因がこれだけなら良いのですが。
6. トランジスタを取り外す
1) 2SC5242と2SA1962のペアの出力トランジスタが来るまでにトランジスタを外す事にしました。
ところが3本の端子のはんだを一箇所ずつ吸取線(ウィック
)で取ってみたのですがはんだが少し残るため外れません。
トランジスタの外し方を検索してもヒートガンで一度に溶かして外すとか、吸い取りポンプを使う方法しかありません。
そこでICの外し方を見習って、はんだを3箇所に繋がるように盛って外すと外れました。
ICと違って間隔が開いているので無理したため基盤が少し痛みました。
太い銅線でも使えば良いらしいです。
テスターでショートを再確認しました。
(参考)
soldering remove はんだ付け(外し方) SOP8ピン
正しいウィックの使い方
7. トランジスタをはんだ付け
1) トランジスタを差し込もうとすると、1個用のはんだが完全に取れていなくて穴が小さすぎて入りません。
これも吸い取りポンプがあれば簡単なのでしょうが、ウィックでやっと取って差し込んではんだ付けしました。
8. 電源テスト
さて他にも原因があればまたヒューズが飛ぶので、恐る恐る簡単にトランスとスピーカーだけ接続して電源を入れてみました。しばらくしても大丈夫でした。
次にプリアンプのコネクタを接続してベースと接続して音を出すと修理成功でした。
9. ケースに戻して組み立てる
1) さて基盤を取り付けようとしてドランジズタを固定するネジがはんだが取り切れていなかったトランジスタの穴と微妙にずれてなかなか上手く入りませんでした。
2) スピーカのコネクタを差してアンプを取り付けようと思ったらシャーシが変形しているままなのでうまく入りません。変形している方の穴から取り付けていくと無理やりはめ込む事ができました。
3) あとバカになっていたネジを幾つか取り替えて、頑丈になって完成しました。
なんでもやってみる物ですね。